頭痛発作を起きにくくする工夫
お薬による治療だけではなく、片頭痛とよりよく付き合っていくために取り入れられる日常生活の工夫をご紹介します。できることから始めてみませんか?
<食事>
片頭痛は、空腹時など、血糖値が低下したときに起こることがあります。朝食を抜くことは片頭痛の原因になるので、忙しくてもとる方がよいでしょう。食事をつくる際には、片頭痛を誘発する食品をなるべく避けるのがポイントです。代表的なものとして赤ワイン、チョコレート、チーズなどがあります。これらの食品に共通する片頭痛誘発物質はチラミンなどのアミン類が考えられます。アミンを含むピーナッツ、豚肉なども片頭痛の誘発因子と考えられています。また、アルコール類には、血管拡張作用があるだけでなく、その含有物にも片頭痛の原因になるものもあるので注意が必要です。
<スケジュール管理>
仕事も、生活も、ついつい忙しくなってしまう…そんな時は心身に余裕ができるようスケジュールを調整してみましょう。長時間緊張状態が続くときは、途中でリラックスタイムを設けてストレッチをするなど、心身をほぐすと効果的です。
<外出>
日光、暑さ、乾燥、湿気、騒音など、外出先の環境から片頭痛が誘発されることもあります。人混みや換気の悪い場所を避けて、外出するようにしましょう。できれば、サングラスを使って直射日光を遮ったり、空腹を避けるため飴などの糖分をとってから出かけるといいでしょう。
<睡眠>
良質な睡眠をとるように工夫してみましょう。寝不足も、寝すぎも、片頭痛の原因になることが考えられます。片頭痛で目が覚めてしまう場合は、空腹や、前日の飲酒、カフェインの取りすぎなどが理由として考えられます。
<入浴>
入浴すると体があたたまり、血管が拡張して、片頭痛が起こりやすくなる方もいます。片頭痛の予兆があるときなどは、シャワーだけにしておくようにしましょう。
<お薬>
ホルモン療法などの薬には、血管を拡張させて、片頭痛を誘発させるものもあります。片頭痛のお薬と併用する場合は、医師と相談しながら服用するようにしましょう。
<ストレス>
生活の中で、できるだけストレスをため込まないように自分自身のケアをしてあげましょう。頑張りすぎず、過労に気をつけて、自分から休憩をとるように意識してみましょう。気持ちをリラックスさせて、心配ごとなどを考えすぎないように心を整える時間を作ってみましょう。
首から肩にかけてのストレッチは、片頭痛の予防に効果的です。
片頭痛の回数が増えると、首の後ろにまで頭痛回路が伝わり、痛みがひびいてしまいます。生活の中に、適度な運動を取り入れましょう。肩を回すなど、椅子に座りながらできる簡単なストレッチで体を動かして、片頭痛の原因となる、頭を支えている首から肩にかけての筋肉の緊張をやわらげます。こうした体操は、後頸部(こうけいぶ)の筋群をほぐして、脳の痛みを調整する筋に良い刺激を送り、片頭痛を予防することが期待できます。
監修:獨協医科大学 名誉教授・医療法人社団欅会 頭痛医学研究所 所長 平田幸一先生
協力:JPAC(頭痛医療を促進する患者と医療従事者の会)