片頭痛の治療法

急性期治療 ~急な痛みを抑える治療~

急性期治療とはどんな治療?効果とメリット


急性期治療は、片頭痛発作が起こったときの痛みをすみやかにおさえ、仕事や生活にできるだけ早く戻れるようにするための治療で、薬物療法が中心になります。
片頭痛の急性期治療では、大きく痛み止めと片頭痛治療薬があり、効果の速さや安定性、副作用の有無、患者さんのライフスタイルに合わせて服薬しやすさなどを考慮して、医師が患者さんと相談しながらその人にあった薬剤を処方します。
急性期治療をしていても予防療法の対象となる可能性があります。

一般的な片頭痛急性期治療薬とは?


片頭痛急性期治療薬は軽度、中等度、重度で症状に応じて選択されます。悪心や嘔吐を伴う場合には制吐薬の併用が有用です。

どのお薬も3ヵ月を超えて頻繁に使用すると薬物乱用頭痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。頭痛が起こったときには、静かな暗い場所で休んだり、痛む場所を冷やしたり、入浴を控えるなど、お薬の服用とともに自分にあった対策も行うことがすすめられます。

薬をのんでも痛みがおさまらない場合は、片頭痛ではない可能性や、薬があなたにあっていない可能性など、様々な原因が考えられます。
主治医に相談しましょう。

急性期治療はどんなときに必要になる?


急性期治療が望ましい状況

急性期治療薬は、片頭痛発作が起きたときに使用します。片頭痛発作が起こりはじめたら、我慢しすぎないで早めに使用しましょう。

また、急性期治療薬の中でも、片頭痛治療薬は他の頭痛には効果がないので、片頭痛による頭痛が起こったときにのみ使用しましょう。

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薬の飲みすぎで頭痛が? ~薬剤の使用過多による頭痛


緊張型頭痛または片頭痛をもつ患者さんがの急性期治療薬を連用するうちに頭痛が慢性化してひどくなったり、痛みの感じ方や持続時間が変わってくることもあります。これを「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)*」といいます。

片頭痛のお薬をひと月に10~15日以上(薬の種類によって違います)服用している場合、薬剤の使用過多になってしまうことで、薬物乱用頭痛を引き起こしている可能性が考えられますが、発生するメカニズムは正確には分かっていません。対応について医師に相談しましょう。

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薬剤の使用過多による頭痛にならないために

急性期治療薬は、片頭痛発作が起こったときにのみ使用しましょう。発作が起こっていないときに、予防的に使用することはやめましょう。片頭痛発作が多い場合には、予防療法が必要な場合がありますので、医師に相談してください。

薬剤の使用過多による頭痛になってしまった場合には、①原因薬剤の中止、②薬剤中止後に起こる頭痛への対処、③予防薬投与 が治療の原則です。

監修:獨協医科大学 副学長 平田幸一先生

協力:JPAC(頭痛医療を促進する患者と医療従事者の会)